●世界の流れだから日本も捕鯨にこだわるのはやめよう

dolph

2007年03月31日 02:51

世界の流れだから日本も捕鯨にこだわるのはやめようという意見が国内でも少なくなかった

「1988年商業捕鯨の順次停止が決まったとき、これが世界の流れだから日本も捕鯨にこだわるのはやめようという意見が国内でも少なくなかった。当時の大石環境長官もその一人であった」と書かれています。


「捕鯨問題を考える」というタイトルで捕鯨専門家の粕谷氏がスフィアに書かれていた記事より一部のみ抜粋します。2000年秋の記事です。

尚、粕谷氏は「専門家」として、今の日本の商業捕鯨に疑問を呈し、何回かにわたって記事が掲載されております。

●捕鯨問題を考える

捕鯨への意識の変化

(中略)
 3/4の多数票を確保して、クジラを殺戮から守ろうという国々がIWCに増えてきた。
そして南氷洋では1985/1986漁期から、北半球では1986年夏漁期から商業捕獲をゼロにすると1982年会議で決められた。

日本政府の対応
 日本はこれに異議を申し立てたが、米国など諸外国の反発が強く、1988年3月末までに商業捕鯨を順次停止した(小型捕鯨は残された)。この時、これが世界の流れだから日本の捕鯨にこだわるのはやめようという意見が国内でも少なくなかった。当時の大石環境長官もその一人であった。

 政府はこの時、必要な救済措置を業界に与え、捕鯨から撤退を図るべきであった。困難ではあっても、それが一貫性というものである。しかし政府は安易な道を選んだ。
IWCの決定は不当である、捕鯨再開を目指そうと叫びつつ、18年間を過ごしたのである。

 政府は国民に、公正で十分な情報を与えなければならない。しかし政府は捕鯨産業側の広報には補助金を出してきたら、反捕鯨側の意見表明に補助したという話はきかない。政府の立場を不利にする情報の公開には熱心ではなく、一方的な価値観が宣伝された。

 水産庁に、食糧生産と漁業者の利益を優先する体質が強いのは歴史の反映でもある。環境の価値や消費者の利益は軽視される。いまも、PCBや水銀で汚染したクジラ肉が流通し、無軌道なホェールウォッチングが放置されている。

(中略)

日本でなすべきこと
(中略)今の日本では捕鯨への依存度は低く、経済問題として解決できる。
(中略)先進国は商業捕鯨を止めるのが良識だとわたしは考えている。それで日本人が不幸になるとは思えない。

(中略)
 原因のもうひとつは報道の弱体である。
IWCを取材する日本の報道陣は大きいが、みな日本政府の代表団からレクチャーを受けて、それで毎日新聞を書いている。

彼らが外国代表から直接取材しあり自分で議事を聞いて記事を書くことはあまりないらしい。

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●粕谷俊雄氏

東京大学農学部水産学科卒業、財団法人日本捕鯨協会鯨類研究所所員、東京大学海洋研究所助手、水産庁遠洋水産研究所底魚海獣資源部鯨類資源研究室室長、三重大学生物資源学部教授のち、当大学教授、退官後はフリー。

●出展:
Sphere(スフィアー) :
http://home.c03.itscom.net/sphere/
写真家・科学ジャーナリストの水口博也さんが責任編集を行う、海のグラフィック誌
会報、ニュースレターを販売されています。1冊1000円。

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